雪解/木屋 亞万
開いて
開かれた目の白いところは
驚くほどに真っ白で眩しい
眉間にシワが寄って細い眉が歪むと
目では涙が表面張力しながら踏ん張っていた
鼻の脇をヒリヒリする痺れが抜けて
君の涙が私にも移ってしまいそうになった
「また会えるかな」
「今までのようには行かないけれど、きっと」
その言葉を最後にして
君と二人
まだつめたい風に吹かれて
髪の花が散ってしまうのを
静かに待っていた
私はこれからどこへ帰れば良いのだろう
呆然と立ち尽くしていたら
上半身から
ぽわんぽわんと
木蓮の花が咲いて
雪の男はこうして散るのだと知った
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