雪解/木屋 亞万
久しぶりの君は髪が白かった
最初は帽子かカチューシャかと
一般的な白髪とは違う
老化ではない白髪
「どうしたの?」と聞いたら
「触ってみる?」と言う
優しく触れたはずなのに
パラパラと白い鱗が落ちていく
「あ、ごめんなさい」
慌てて謝ったけれど
君は何も言わず目を閉じている
手に残る鱗は柔らかく脆い
「これね、花なの、ユキヤナギ」
そう言って首をこちらに向けた
それだけで頭からまた
いくつかの花びらが
春だから、サヨナラなのよ
雪の女はね
最後に頭に花を咲かせて
その花がすべて散ったら
静かに眠りにつくの
目を閉じて、また開い
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