女性性に関する一考察/石川敬大
 
くなる濠端の方へと横断歩道を急ぐ


 (抽象的でありながら具象である)


 こわれてゆく街のなかで
 こわれてもこわれても輝きを増す
 この
 乾いた硬い音の
 どこに母性があるのだろう
 どこに赤ん坊がかくれているのだろう
 と、ぼくはフシギにおもう


 おとこのまさぐる指先がみえない


 この
 乾いて硬い音は
 おんなの性を帯びている





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