時間/大西 チハル
 


君に伝えたいことを
ぼんやりと思い出していたら

冷たいペットボトルが
置きっぱなしのまま汗を噴いて
机の上
書きかけの手紙が
濡れてしまった

こんなことで
泣いてもいいのは昨日だけ

私の内を流れる時間と
私の外を流れる時間の速度が違うこと

に気がついても
まだ

私はここにこうして
濡れた手紙を
空で乾かし

スロウな時間の中を
心地よく


泳ぐ





戻る   Point(4)