大満月/salco
まあ綺麗。
月はどうなつてゐるのでせう。
あゝ、飴利禍軍人の湯たんぽみたよな足跡がべたべた残つてゐるさ。
乗捨てて行つたゴオカアトとか旗竿とか、そんな金属玩具や芥も其儘だ。
まあ、あの哀しい白塗りのお月さんに。
(ふむ、捨てて顧みられぬ年増の妾と云ふところさ)
一体に、飴利禍なる新興国の知性はどんな莫迦気た夢でも実現して了ふ。
一番乗りとかパイオニヤとか、強迫的に好きなのだらう。
せずには居られない。愛蘭の百姓をメデヰチ家呼ばはりするほど歴史が
無いから揺曳すべき古典世界が無い。
拠つて憧憬の行先は総て軍事力であり、文化の様相と云へば紙幣の乱舞
でしかない。
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