戦争と天災/吉岡ペペロ
 
戦争映画ってやつは

こんなことと比べると

ずいぶんと甘ずっぱい天災のように思えた

しがみついていた

地上には

その果てまでゆかなくても

幸福がある

夜道には玉葱と

牛肉を焼く匂いがする

犬を連れている

焼いた肉と醤油とママレモンの匂いがする

ひざの強そうな女の子がいる

甘ずっぱいものには

意味がコーティングされている

意味いぜんのものは剥き出しのままだ

犬の肉を焼くように全開で剥き出しのままだ

だから戦争映画ってやつは

こんなことと比べると

ずいぶんと甘ずっぱい天災のように思えた





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