くそやろうたちへ/とんぼ
 
やっぱり寂しいんだようと言って最後の最後でわたしが泣くと
うわーーこいつ泣いたよきめえ
といつもの調子でみんな笑った
それからいつもみたいにじゃあねと言って
それぞれ走り出したばかりの市バスに乗り込んだ

1人でまだ1日が始まったばかりの部屋に帰ってようやく
駅前で涙をぬぐったマフラーに
つけまつげとファンデーーションが付いていたことに気付いた
それを取りながらわたしは
泣かない人たちが
最後まで見せなかった涙のことを思う
彼らの部屋のフローリングに落ちて、そのうち乾いて薄い染みになる
数滴の熱いもののことを思う
最後に触れた彼らの手も熱かった

ここは京都だ

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