ボクらのバラエティーブック/
乾 加津也
城砦から草いきれを貪り
上へ上へと勢いづくスギナやハコベたちの顫動と重奏
素気ない残月や
一度きりの向かい風のなかにさえも
ボクらの言葉(ほんね)は
ピリピリと毛羽立ち
乾いた
追る権化の朝に
帰れば細胞の解放過程が始まるだろう これから眠るだけの
ボクの誰何もハンズアップといわれるだろう
しっぽの生えた
たあいのない砂の一粒
あの本の中に
言葉の行軍の奥深くに
敷きつめられる夢のかけらのようだった
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