見知らぬ街/……とある蛙
鳥も帰らぬ街の残骸
その真上にも空が拡がる
空には厚い黒雲が犇めき(ひし)
雲の凹凸にたくさんの泣き顔が
泣き出す雨の一粒一粒が
いのちのかけらであったため
泣き出す雨に佇んだ
涙袋が途方に暮れた
生き残った涙袋が
佇(たたず)み そして途方に暮れた
いつになるのか雨上り
いつになるのか晴れの日は
本当に虹は架かるのか
見当つかずに立ち竦(すく)む
涙袋は立ち竦む
それを遠くで眺める者
手を拱(こまね)いて途方に暮れる
それでも一緒に歩こうと
それでも一緒に歩こうと
少しずつでも歩こうと
また、涙袋が破れぬ前に
戻る 編 削 Point(7)