焔洋 / ****'04/小野 一縷
 
映して追い立てる 
そして二つの手と十の指を一つずつ追い越して
振り向き様に目蓋を可視する視線で貫き瞬間微分解析された文字
まずその子音から母音へ変成する間隙に立て掛けられた
一つの音階の移行に伴って漂う色彩変化の流動に揺られ
流れてくる全ての臭覚判断記憶細胞内において何よりも懐かしい香りの
柔らかい甘味から胸の内に響く清々しい香りへの浮遊変化係数を
時間単位に変換する脳内の奥の芯に暖かく燈る明るさが 
紅く熱く最微分された輝きを身体中へ転写浸透させる

「見える」

眩しい 

ずっと 眩しい 

ずっと ずっと

懐かしいくらい 眩しい

懐かしさ

[次のページ]
戻る   Point(5)