うた/茶釜
皆が悲しい時
感情が感情に嘘を付かせる時がある
「私は大丈夫だから」と言わせる
「そちらを先に」と言わせる
高齢者も子供も男も女も
誰もがそれが誠の嘘だと分かっていて
そして世界で一番短い詩を返す
「有難う」
数々の試練に打ち勝った
この国の人たちは
昔からそうやって来たのだ
誰に強要されることもなく
当たり前の様に
私は
私もあの人たちの様に
失った朝も
「おはよう」を忘れずに言えるだろうか
明日の希望が薄れた夜も
「お休み」を言い合うことが出来るだろうか
うたを交わし続ける事が出来るだろうか
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