冬から春へ/つゆ
 
どうしてまだそんな所にいるの?早くこっちへおいでよ
って声をかけられるぐらい、まわりが難無くこなせてしまうことが、なかなかできないのです。
みんなが水溜まりの上を身軽にジャンプして超えていくのをそばでジッと見ている感じとでも言いましょうか。
重い腰をヨイショとあげて、ようやく私ものっそり動き出す。
みんなは私のことをしっかり者だとか気配り上手だとか良いこと言ってくれるけど、いいえ私は違うんです。
本当は意地悪いことも考えちゃう、動きのたいそうゆっくりな冬眠中ののっそり子。
気づいて、気づかないで。気づいて、気づかないで。
その繰り返しです。

だけど、のっそり子も春を待ちます。脱皮できるかなと春に願いを込めています。
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