3月の即興2/橘あまね
 
野はどこまでも、たいらかで広々
ぼくは花の数をかぞえる

やさしい
雲の群れが
やさしい
雨を
ふりまいてすぎたあと
うすく差した
ひかりが虹を
つくる前の
ほんの一瞬
よみがえるのは
なくしたつもりの香りです

野はどこまでも、たいらかで広々
ぼくは花の数をかぞえる
かぞえきるまで
うちには帰らないのです

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