イメージできるかい?/はるな
 
を守ってくれるものではなかったから。不安だけが確固としてそこにあった。痛みと言ってもいいくらいの。そこにあるのは、不安と、現実だけだった。きみはどうにかして現実からの逃避をこころみた。でもそれは無理だった。きみが実際に使える時間というのはいつだっていましかなく、一秒さきの未来を一秒はやく手に入れることなどできはしないのだ。それで、それからきみは自分の身体を使うことを思いついた。きみはそれいがいに自分の持っているものを思いつかなかったのだ。きみが、思考やイメージが武器になると知るのはもっとずっとあとのことだ。
きみは自分の身体をつかった。それはイメージではなく、かたちをもって、かたちをつくることの
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