思い出/半分
 
思い出は、捕まえようとすると逃げてしまう、引いていく波のよう
思い出は、知らないうちにすぐそばに来ている、押し寄せる波のよう

誰のものか分からない
いくつもの砂浜に残された足跡
私と海と砂浜を風が撫ぜるから
ぜんぶ風の足跡ということにしておく

今も遠くで吹いている、一度きりの風が
細波を立てる
戻る   Point(1)