それでもサクラは咲くのです/西日 茜
八重桜
いくえにも重なって
淡い桃をたわわに逢せる
遠野の空の水と蒼
流れ流され血の紅滲む
それでもサクラは咲くのです
山桜
ひっそりと佇む
誰も知らない名前すら
無から生まれ無に還る
せめて乱舞の一時を
それでもサクラは咲くのです
枝垂桜
寺の奥庭際立つ姿
瞼の裏に焼きつけて
二度と帰らぬ時の絢爛
かつて犇めく宴の宵
時は一瞬飲み込まれ
逃げる間もなく
サヨウナラと手を振って
それでもサクラは咲くのです
それでもサクラは咲くのです
それでもサクラは咲くのです
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