月と太陽と夜に / ****'02/小野 一縷
 
只中で 凍えている
ぼくの 
まだ知らぬ 温度 凍てつく領域を きみは知っている
やがて 燃え尽きる太陽を きみは知っている

それでも まだ  
ぼくには 足りない 熱が 太陽が 
足りない
ぼくは 言える
きみの悲しみより ぼくは 飢えていると
今以上の 焔を 渇望していると
それは もう熱じゃない 刺すような 痛み
冷たさ そう きみの持つ その凍えた 震えが
ぼくは 欲しい

ぼくは 優しく 冷たく 刺さしてくる
鋭利な 月の明りが 欲しい
ぼくは 月が欲しい 
まるで きみのような月に
ぼくは 羨望を 燃やす
ぼくは 情動を 焦がす
ぼくは きみに 憧れる





ぼくは きみを 


きみは 泣いたまま

季節と日付を変える風が
太陽と月の間 夜と朝の間に 吹いている

ぼくは 燃えたまま

きみは 冷えきった涙を 拭きもせず
ただ 熱い風に 吹かれている







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