青梅街道ブルースドライブ/虹村 凌
 
津波がさらっていった親父の夢の事を考える
太平洋に浮かんでいる親父の夢の事を考える
親父は彼のブルースをドライブ出来るだろうか
僕は僕のブルースをドライブ出来ない
屈辱と憤怒と恐怖と焦燥と劣等とありふれた青春のブルースをドライブ出来ない
お前の細い身体と白く小さい乳房と桃色の乳首を思う
でたらめに脈打つ心臓を笑う
縮み上がった根性と怒張した薄汚い春情を笑う
お前のラヴアンドピースに埋もれる中指を笑う
不明瞭なインと不鮮明なアウトの境界線で行方不明になる
屈辱と恐怖に目を覚ます
乾燥して割れかけた唇を舐める
童貞を拗らせている三秒前の自分を殺したくなる様な色をした夕日に目を細
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