アラスカ7〜気分は開高健〜/鈴木もとこ
突っ立ったまま残されていた。
「お、俺ツアーの場所とか何も知らないんだよ」と焦るアメリカ人スタッフ。
「えー?本当?じゃあ中止なの?」とまだ唖然としている私。
「うむー。よし、会社に連絡取って何とか連れて行ってあげるよ」
彼は何とかツアー会社へ連絡をつけて、やっとバンはアンカレジの街を後にした。
行先はアンカレジの南キーナイ半島にあるキーナイリバー。カラフトマスやキングサーモン
が釣れるポイントのフィッシングロッジへ。車はクック入江をぐるりと巡り、木の生えて
いないツンドラの山が連なる道を走りつづける。中腹にはポツンとティーピー(インデアン
のテント)が1つ煙突から細く煙を出してい
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