アラスカ7〜気分は開高健〜/鈴木もとこ
ている。こんな山の中にも人の暮らしがあるのだと
思うと、何だかほっとした。世界中どこへ行っても、ご飯を食べて仕事をして日々を過ご
してゆくことは昔からそんなに変らないことなのかも知れない。
大きなカリブーのツノを入口に付けた小さな家の窓に、ドリームキャッチャーが揺れている。
その横の道をバンはゴトゴトいいながら入っていった。大きくてきれいなロッジの前にいた
若い男性が「やあ、いらっしゃい」とやさしく迎えてくれた。どうやらここがフィッシング
ロッジらしい。口ひげの彼と若い男性が2人で少し話したあと、「じゃ、俺は釣りに行く
から!幸運を祈るよ!」と言って口ひげの彼は草むらに消えていった。
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