嘆く背に桜前線の風が吹くように/たちばなまこと
うよ!ぼくがママを守るんだよ」と言う
友だちからのメールが届く
「支援物資を運びにゆくよ」
「防災関係の仕事が増えたよ」
「ばあちゃんの病院にいるよ」
「札幌は日常を取り戻しているよ」
私が生まれた苫小牧の立派な港に
アメリカからTomodachiの船が来て
自衛隊の車両をたくさん積み込んでいったんだってね
港が夜通し赤く光って
ヘリコプターの音が鳴り止まなくて
父さんも母さんも妹も
「動悸が止まらなくて、眠れなかったよ」って
笑ってた
電話口
成田や羽田が混雑しているという映像が 少し早いゴールデンウイークのようにも見えた
風吹く川沿いの道
並木のつぼみがふくらんでいる
もうすぐ東京にも桜が咲く
次の休みは彼岸だから
墓参りにゆくよ
東京はこの子とその父親のふるさと
私は北のふるさとも君たちのふるさとも愛している
私はこの国を愛している
桜前線よ
北へ北へと春を届けて
ふるさとを愛する魂たちを
あたたかくくるんでください
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