Ou est ma agneau/雛鳥むく
日記帳、
欄外の余白を縮絨し
つくられた子羊に
錆びた針を飲ませる
わすれられた浜に
とり残された
もろい足跡のように
母の筆跡は、
幾度目かの春で途切れていた
郵便受けに手紙が
一通も入っていなかった朝、
どんなに柔軟な挨拶でさえも
遊泳魚のように
身を踊らせるねむりを
捕らえることができない
汚された不在届を
盾のように構えながら
ただ促されるままに
汽水で素足を濯ぐ
一方で、
Kimiと呼ばれた子羊たちは
桟橋から波間へと突っこみ、
跡形もなく蒸発し、
まもなくみんな雲にかわった
そして、
その雲が、
ぱらぱらと
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