嘔吐/草野春心
 


  きみの
  女性器のまえに屈んで
  カリリと酸の肉を噛んだ。



  淫れ髪から香るは春、
  その物語をそっと吸うと
  ぼくらの時間はふいに、
  反復横跳をはじめる。



  目で嗅ぎ
  耳で嗅ぎ、
  口で嗅ぐ。
  手で淋しさを玩ぶ
  愛を心を、生を死を
  哲学することほど、
  下劣なことはこの世に無いよ。



  嗚呼、
  嗚呼、嗚呼。
  それはいのちが漏れてゆく音、
  どうせ初めから腐っている。
  ボドボドとぶち撒けた胃液のなか、
  なすりつけるように睦み合おう。



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