消灯のために/
るか
二本の指で
煙草の先端を揉み消して
どこか遠い空に
未明から鳴り止まない
海鳴りのような響きに
耳は ひらいて
放棄された灯台の足元で
だれも慰めないでいてください、と
風は深い地下を吹き抜けていった
あたう限り 静かに
群衆はいつも私たちに隔たって
屹立する壁だけが正しかったように思えていた
時がそこで鼓動を打ち鳴らした
すべて知られぬまま倒れていった人々が
彼方から帰還を果たすために
私たちは前哨の
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