波うち際で/はるな
ふいてもふいても
いっこうにひかない悲しみのなかで
笑わなければならない悲しみを
温めてなお笑っていることを
強さと呼ぼうか
明かりの絶えた街中で
星を見つめるまなざしを
つめたい床の上に
ぬくもりを一枚ずつ重ねる手を
ありあまるかなしみを目撃し
それでもなお凝り固まることのないこころが
ひとみを濡らしつづけることを
優しさと呼ぼうか
強さと呼ぼうか
それとも希望と呼んでみようか
名前をつけるのはあとにしよう
祈りに名前をつけるのは
足りないことを
あきらめを
弱さを
臆病さを
知っていてなお願う気持ちに
名前をつけるのは
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