小田原城にて/吉岡ペペロ
的にあたまのなかは楽天的に
だからいま小田原城を見つめに来ている
末期の眼みたいになって
瓦礫は木と白いコンクリと泥だった
それ以外はみんな泥でコーティングされていた
ここからなにかを始めろって
まだなにも終わってもないのに言うな
まず生きてやる
生き抜いてやる
小田原城をしたから見つめている
限りないやさしさを感じている
四百年いじょうもまえにも
ここにこんな色した質感の感情で
生き抜いてやる
はんぶん萎縮した気持ちでそう思っていた
ここも計画停電で入館はできなかった
まわりの商店も閉まっている
生きてやる
だんだん城が最近つくられた建物のように思えてくる
さっき家をでるまえ弟が言ってた
小田原城は難攻不落のお城だったんだ、
そのことばに支えられて城を見つめている
北東に命を賭けてやってくれているひとがいる
ここにわたしがいる
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