小田原城にて/吉岡ペペロ
政府に文句などない
最悪の事態なんて
タイムリーに通達されるわけない
四五時間後がいいとこだろう
それでも速いぐらいだろう
いま小田原の弟のところにいる
小田原からだと最悪でも
アドバンテージを持って動ける
さっき三号機が爆発した
命を賭けてやってくれているひとがいる
小田原城を見つめている
テレビを見つめるより精神的にいい
萎縮しているあたしの精神
土と石の参道を
うららかな光に浮かされながら歩く
埃になったみたいだ
楽天的になれない
精神力が強いって楽天的だってことだろう
行動は悲観的に
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