望まないチケット/酸素の枷
 
同じ時間
同じ瞬間
他人事

死が近くにいない人には
少しの刺激も余裕な一時
笑いながら冗談まじり
乗り込んだ揺れる楽しいアトラクションの
感想を語る

死が近くにいる人には
少しの刺激も恐怖の一時
ささやかな笑みでも落胆まじり
乗り込んだ揺れる理不尽なアトラクションの
現実を語る

これはこれ
それはそれ
この二つの例のどちらかに偏る人はいない
どちらにも人は乗り込む可能性がある

乗車の意思に関係なくチケットは渡される
今も走行しているアトラクション
どちらにも乗る可能性があるのだから

乗り物が変れど
レールは一つに繋がっている

自分が乗っている乗り物より
大きな絶叫が聞こえるようなら
そちらに眼を向けて考えて欲しい

明日は我が身と命ある限り
“語るのではない何か”をするのが
今なのかもしれない
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