あおばずくー閃光の欠片2ー/……とある蛙
空の途中の領域
中途半端な浮遊感と一緒に
風を翼に受け
停止したまま浮遊する
彼だけができる芸当
地上を常に意識する狩人は
樹木の枝葉の間から
見え隠れする野鼠ほどの小動物を
急降下して攫おうとした瞬
猛禽類に喉元を食い破られた
頭上に天敵が漂っていた
奴からは逃げおおせるという
夜郎自大な自惚れ
薄れ行く意識の中に
彼は腕をもっている
翼ではなく腕を
頭上から閃光が
その閃光の上澄みを
両手で掬い取って
闇夜に翳して見る
指の透き間から
希望と落胆が零れ落ち
指の毛細血管が絡み合って
透けて見えるが
腹の足しにならない
そのまま閃光に溶け込み
意識が閃光と混濁した彼は
また一個の野鳥に転生して
野鼠を追いかけ回す
デジャブ またデジャブ
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