生きることを考えたら遠く離れるしかないのだ/吉岡ペペロ
 
メインタワー十九階

シャンデリアがゆっさゆっさと揺れていた

長机のしたに隠れていても

それは天井からの落下物だけのお話だから

部屋を飛び出して非常階段をさがした

鉄扉をあける

薄ぐらくて黒がこびりついた配膳室

つぎにあけたところが非常階段だった

ひっそりと口をあけた階段を駆け降りた

それに続くひとはいなかった

途中の階で加わってくるひともいなかった

足がふるえている

まだ建物が揺れつづけている

なんども壁に肩を打ちつけながら階段を降りていった

階段は四階で終わっていた

ゆきどまりの左手にドアノブ

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