ゴミ箱が機能しない/塩崎みあき
 
りカスを出さないために文字を書くことを自粛し、ゴミ箱が機能しない、かみの毛を落とさないために髪を梳くのをやめ、ゴミ箱が機能しない、ホコリが出ないように一所から身動き一つしないようにした。ゴミ箱が――

 なのにどうしてか私の周りにはゴミが止め処もなく溢れてくるのでいたたまれず叫び出したいような気持ちになった。――機能しないゴミ。

 一刻も早くこの状況を打開しなければ私は気が狂ってしまうだろう。それはよく解っていたのだが既にゴミ箱を見ることすら恐ろしくなっていたので、私はいつまでも其処でがたがたと震えているしかなかった。

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