冷厳なる現実 【未完】/ポー
 

それは梅の花が咲き誇る故郷の地で 粛々と静寂に包まれ冷厳なる現実として訪れた

桃の花が咲く頃にはいられないだろうと 誰もが知っていた いや わかっていたはずなのに


庭の至るところに 毎年 賑やかに季節の移りゆく様を誇らせた 兄の好きな梅花

導かれるように咲き 兄が築き上げた礎の如く大地に根を張り 遠き懐かしき月日へ誘う

冷厳なる現実は単なる別れや悲しみとは違う

どう生きてゆくか
どう活かしてゆくか
何を与えてくれたか
何を与えてゆくのか
どう逝くか・・・

計り知れない現世 計りようもない逝く世

肉体は地に戻り 魂はあの世へと昇りゆくという

死に際の兄の想いは何処へゆくのだろうか




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