静かなまぼろし/ホロウ・シカエルボク
 



出来損ないの
光線の具合
淡い影を
歩道に残して


セルジュ・ゲンズブールの埃臭さが
鼻先でゆらゆらと眩む
暖かくなり始めた
世界の息吹はノーウェア・マンには五月蝿過ぎて


混沌の安穏のステップ、アンドゥトロァがだまくらかす、床で跳ねてるトゥシューズの、傷めた足から落ちた血飛沫


クラッキング、の新しいイントロを
何度も
思い出しながら
赤い軌跡を引くダンスをずっと眺めていた
日曜で
時間は
たくさんあった


哀しむことと
正直さが
理解し得ないなら
なにかに変換するしかない
溶け合うまで、踊って、踊って
それが穏やかな
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