そこにいないということで、存在をしてる/真島正人
{引用=
そこにいないということで
目隠しをして
だけれども
部屋の片隅に
座っているおとこ
夜が
真空管のラジオから
トラッドフォークを
紡ぎだし
おとこの耳を
慰める
※
まるで孤独と
病院に
二人っきりで入院をしてるよう
顔の形を忘れてしまい
のっぺらぼうに見えてた妻が
みかんの皮をむいている
心の皮も
おんなじように
むいてくれたらと
思っている
※
そこにはいないという
ことが
川のように流れてる
国会議事堂の
レプリカが
自宅の机の上においてある
作りかけの模型には
どこか
寂しいところがあるね
真空管は
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