そこにいないということで、存在をしてる/真島正人
 
{引用=
そこにいないということで
目隠しをして
だけれども
部屋の片隅に
座っているおとこ
夜が
真空管のラジオから
トラッドフォークを
紡ぎだし
おとこの耳を
慰める



まるで孤独と
病院に
二人っきりで入院をしてるよう
顔の形を忘れてしまい
のっぺらぼうに見えてた妻が
みかんの皮をむいている
心の皮も
おんなじように
むいてくれたらと
思っている



そこにはいないという
ことが
川のように流れてる
国会議事堂の
レプリカが
自宅の机の上においてある
作りかけの模型には
どこか
寂しいところがあるね
真空管は
[次のページ]
戻る   Point(10)