カーテンコール/
 
夜 眠る前に
街中でそっと
花火を打ち上げることにした


それは
音のない花火


暗闇の中に
現れては広がる
色とりどりの
懐かしいひかりだ


目を奪われるのも
つかの間
訪れる闇はどこまでも遠く
静寂は
どこまでも深い


僕は次々と
光線を広げる
この空間を知るために


生まれゆく
新たな生命
胸の中に広がる
偶発的な自由
次々と
形を変えて
鮮やかに色は燃え
光線は手を伸ばして
弧や輪と結び
幾重にも重なりあい
誰も起こさぬように
騒ぎ立てる
草花や蝶々
木々のざわめきや
星の流れ
または風の吐息とな
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