【批評祭遅刻作品】殺し、やわらかい雨の中で(山茶花オクリ讃1)/渡邉建志
のようにやわらかい雨に包まれて死にます。そのあとの三行。
残響、
あっという間の。
ハミルは串でシーハーしました。
これを最後の最後にもってくることに、フレージストは狂喜乱舞です。その、その改行、その倒置、そしてその脈絡ない、(人を刺したはずの、)シーハーです。ハミルは串でシーハーしました。です。覚えましょう。ハミルは串でシーハーしました。ハミルは串でシーハーしました。つまり、で広がる世界はもう新しい、殺しはなかったように。
わたしはこうして偶然生きている、詩人もきっとそうに違いないと思うのですが、ムスカとハミルの生死の間は、目隠しして飛び石の上を歩いてるようなもの(借りました)ではないでしょうか。殺しはなかったように、やわらかい雨の中で、永遠に眠るひとと、微睡に落ちる人のあいだの違いは偶然以外になんだったのでしょうか。
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