【批評祭遅刻作品】殺し、やわらかい雨の中で(山茶花オクリ讃1)/渡邉建志
 
いように」ということなんだな、と思うわけですが、こうやって常識的に書かれた文になんどもわたしが現れさせる「車は」という主語だとか。それが出ないまま気がつけば「ドアは」となっている詩だとか。わたしは「ドアを」と書いたところを、詩人は「ドアは」と書いているところとか。それは、狙ってされていることでは多分無く、詩人の中に流れずにはいられない音楽だったと思うのです。実際、ガッチャ。にしろ、エトランゼ、にしろ、ガローン。にしろ、オクリさんは言葉の音楽の流れに耳を澄ませる人だったんじゃないかと思っているのです。実際、この詩で一番美しいというわけではたぶんないこの一節を偶然取り上げただけなのに、「市道といいまし
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