らん熟/アオゾラ誤爆
いつのまにか足首のかたちが変わっていた
このところ続いてる春にしてはひくい気温のせいか
映画館でまぶたにふれたりだとか
苦いコーヒーを胃にそそぐように
うまくできないことだらけ
罫線がじゃまなノート
燃やすよりも破りたいとおもう
動物の顔をしたひとたち
にげばをつくる器用な言葉は
ながびく懐疑に歯止めをかけたりしない
はやくとびらを開けたい
今ならどこまでも走れるような気がした
その途端だ
風という風がわたしを切りつけはじめたのは
鼻腔から侵入してくる
だれかの思想は朗らかに巣をつくる
ふたつきれいにならんだ椅子の
あたらしさに目を細めながら袖をまくった
撫ぜたかったいびつな背骨はもうなくて
きみはまったくの無味でそこに立っていた
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