たったか駆けるのだったか/N.K.
 
軽やかなのか 駆けて行く
何月のウサギか たったか たったか
そうして今年も
平年と同じく たったか
夏から秋へと走り抜けられたのか

ウサギは気まぐれだった
季節の段差を前にしたのか
耳をピンとさせ後足で立ち上がり
記憶の上を …だったか …だったか
この世の気配を窺ったりもする
気配を察したウサギはまた駆け出して
繰り返される鬼ごっこの隙間へ消えて行く
鬼ごっこをするなら皆で鬼になって
ウサギを追いかければ面白いのに
そうして埋め合わせられれば良いのに
一つの白い躍動で夏と秋ほども違う各人を

心躍る冒険は日常から浮かんで来ないまま
自分はアリスだったか 
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