シンクロニティ/高梁サトル
{引用=晴れやかな正午に
土砂降りの深夜に
ショーウィンドウ越しにわたしの海辺に寄って
砂浜で輝く貝殻を拾う
追い越して先回りする足取り
空瓶がひとつずつ埋まっていくたびに
はばたきの向こう側から手を振る
あなた
幸せそうに微笑んでいるゆめのあいまを
見詰めているうちに
無意識に呼びたくなる
名前も知らないというのに不思議ね
鉱石のようにかたく
音楽のようにあざやかな
唇の少しの隙間から零れるあぶくのような
呼吸を整える
揺れている水面が
つんざく雷鳴が
倍音に重なって
歌を忘れてしまったわたしでさえ
共鳴してうたえたような気になれる
前方に毅
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