梅見のひと/恋月 ぴの
やっぱ自然には敵わないよね
今年はやたら寒いだけかと思ってたら
河津桜は紅いろの可憐なほころび揺れているし
これはとばかりにお出かけした越生の梅林
朝晩は冷え込むためなのか未だ七分咲きとは言え
紅梅白梅はなんだか目出度さあるような
低く横に張る食用梅の枝先に気を払いながら
家族連れがお弁当の場所を探してる
何か気に障るのだろう
お母さんに手を引かれた男の子がぐずっていた
甘えているだけなのかな
お母さんに付き従うはお父さん
両手にはお弁当やら敷物やらと大忙しで
今どきの育メンってことだよね
わたしが子供だった頃は
先頭を歩む父の一存でお
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