必要不可欠なもの/甲斐シンイチ
 
ぼくはぼくのことをかくとウソっぽくなるから

きみのことをかこうとおもうんだけど

きみはかんぺきすぎてやっぱりウソっぽくなるきがする

けっきょくどこのだれでもないひとのはなしがいい

どこにでもあるようなけしきをうたにすべきなんだ

いつだってぼくらはそうしてじぶんをうらぎってきたんだけど

どうしてもあじつけしてしまうところがあるから

そのはなしのなかにはいやというほどのぼくときみがまじってしまう

じぶんをぎせいにしてせかいをすくえるとしても

なのりでない おくびょうだともおもわない

まもるわけでもない きみといたいだけ

さいてーかな

だけどそれのほうがホントっぽい

ウソっぽいホントよりも

ホントっぽいウソのほうがホントっぽいかな

いずれにせよ うたうときには

ぼく(ウソ)ときみ(ホント)はひつようふかけつらしい
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