宇宙は膨張している/わたしのなかの/あおば
 
り台が置かれ
先輩の気配は全く残っていない
無論猫は追い出されたのか
一匹も姿を見せない
線路の向こう側も
こじんまりした団地となり
子供たちの歓声は聞こえるのだが
小綬鶏の姿はなかった
隠れる草むらも無くなり
わざわざ飛来する必要もなくなり
何処か別の営巣地を見つけたのだろう
推測ばかりで申し訳ないが
先輩が姿を消して以来
訪れたこともなく
周辺がすっかり変わっていて
当時のことを知っている人も居なくなり
心安くしていた
事情通の隣家の人も引っ越しして久しく
猫のグループも自然消滅して
こじんまりとしているが
無個性で殺風景な景色が延々と駅まで続いている
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