白と歩み/木立 悟
 



ひと息ひと息つづいてゆく
白い胸を見つめる白い目
あきらめられた歩みから
譜面と行方をとりもどす


生きる限り内に残る
名の無い鉱を見つめつづけて
やがてやがて 花になるのか
花になるのは目ではないのか


紙から紙を切り離すたび
生まれる崖が周りを囲み
飛沫の壁を空に突き刺し
新たな花の匂いを降らす


捨て置かれたほころびの端
けものに絡み
霧に濡れ
朝の途中の朝にまたたく


長く平たい
ひとつの骨
踏みしめて 踏みしめて 
ひとつの骨


地に居たものが地に戻り
その糧として色と音を喰い
外の外 外の外
白は白に話しつづける


粉という字のなかの十字
くちびるにくちびるにそそがれて
みな花に花に 囃し立てる
つばさつばさ つばさたれ
つばさつばさ つばさたれ




























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