白と歩み/木立 悟
降りつづいては
落ち着いてゆく
肌の裏側
こがねの腺
無い手を透り
こぼれるもの
失くした姿を
響かせるもの
夜の土の上
たくさんの色が話している
まばたきが 追うつもりもなく
まばたきを追う
かわいた朝
ひと握りの従順
水は動く
一度に 動く
あこがれにあこがれているような桃色が
遠くに遠くにかすんでいる
指と指のあいだ
はためくもの
触れた朝触れぬ朝
差異は巨きく
巨きすぎて見えない
朝から外れ 朝あゆむ朝
ふたつの色が
互いの履歴を語りあう
下を向く冬
こぼれ得ぬ冬
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