目的 ー道6ー/……とある蛙
 
を賞賛している。

歩いてきた道の周りには道標としての並木が
等間隔に機械的に植え込まれ
とても綺麗な景色を形作っている。

歩いてきた道は間違いではない
歩いてきた道に間違いはない
この道を選んだ自分に間違いはない。
この道を歩んできたことに後悔はしない。

素晴らしい道を歩いてきた。
自分の道は栄光に満ちあふれている。

しかし、道は永遠に続くわけもなく
そろそろ目的地が見えてくる。



目的地は思っていたより鈍い景色で
灰色のビルに囲まれた暗い木造平屋の一軒家
一軒家までの道は皹割れていて
しかも皹割れの間から雑草が生えている
草臥れた顔をした老婆が一人
その横には草臥れた下着とステテコ一枚の
老人が一人
何も言わずにビルの間の灰色の空を見つめている
そんな家に近づくと
老婆と老人は皮肉な笑みを浮かべてこう言った。


お帰り

ここが目的地であったか等
今となっては分からないので違うとも言えず
その場に立ち竦むしかない自分がそこにいます。

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