暗い道端で/砂木
おい いくらだ
会社帰りのバス停で 偶然会った女友達と
ご飯を食べて帰ろうという話しになり
田舎から上京して道もよくわからなかったが
あまり混んでいない小さなお店で食事を楽しみ
会計をすませて 友達より先に道端に立つと
暗がりからいきなり表れた男が真正面で言った
はっ? と意味がわからずにいると
やってるんだろう と語気を荒げた
何を? と 問い返そうと思った私の右手を
すぐ近くにいた女友達が ぐっと握って走った
何がおこったのかすぐにはわからなかった私も
走って逃げながら 段々とわかってきた
あの男 私を買おうとした
週刊誌やテレビでしかみたこと
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