夜に遊ぶ/木屋 亞万
ルーのその瞳
透明なのに奥が見えない
世界を止める冷たい思考
クジラ、トナカイ、パンダにコアラ
キリン、ライオン、トド、シマウマ
地面に並べて今日もまた
平面的な動物のビスケットたちが
戦って仲良くなったあかつきに
二人の子どもに食べられる
天の川から汲みだした
ミルキーな水を手に溜めて
ぼたぼた垂らして飲み干すと
喉がキラキラ輝いて
身体が泣いてるみたいに光る
「悲しいね」って桃色の髪を揺らして呟くと
「そうだね」とすぐ青い目が瞬きしながら返すのだ
ビスケット生地の破片が残る
地面をそっと踏みしめて
歩けど歩けど
側にある回転木馬は近いまま
遠くならずに
この夢の世界の狭さを物語る
「また明日だね」とタテガミを
なびかせながら木の馬が語れば
光が少しずつ辺りを洗い流してく
星は光に隠されて
桃色の髪は花になり青い瞳は空になる
タテガミは白い雲として
天地に裂かれる二人の変わり
そっと涙をこぼす日もある
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