宇宙は膨張している/わたしのなかの/木屋 亞万
 
な隙間に入り込んだ気泡が
希望としてみるみる膨れ上がる
体中に熱が周っていく
硬い皮に守られていると同時に
自由を疎外されている
成長している時ほど
身体の節々は痛み
起きたままの頭でいつかの悪夢を反芻する

苦しみながら春を思い
育ち盛る夏の熱を過ぎたら
大きく熱くなった身体を
秋の外気が冷ましていく
冬が来れば取り返しのつかぬほど
身体は硬くなってしまう

誰か私を食べてください
中身が柔らかいうちに
皮がパリパリしているうちに

大きくなった身体で
見渡す世界はかなり小さく縮んでいる
水分はほとんど蒸発してしまっていて
体の中は空洞ばかりだ
これからは少しずつ縮んでいく
希望も夢も感じられない
この身体はどうなるのだろう

多く作りすぎたからといって
日の目を見ぬまま捨てられるのはつらい

願うともなく願っている
誰かがわたしを糧として
次なる宇宙を育むことを
それまではもう少しの間
腐らずにいようと思っている
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