コンラート・ローレンツ/salco
私の大好きなコンラート・ローレンツは
例えばこうだ
ある日、庭に引っ張り出した寝椅子に
ぼろを引っかぶって昼寝していると
狼がやって来て
コンラート・ローレンツを食ってしまうのさ
「おいッ、おいッ、やめてくれ」
「やめんかこら、やめなっさいッ!」
と喚き立てるけれども、もはや胃の中だ
そのうち消化液がぽたぽたと垂れてくる
博士は胸ポケットに尖ったペンもライターも
ペーパーナイフさえ持っているとしても
じっとしているこったろうね
「浅ましい食いしん坊め」
「何という時間の無駄だ」
ぶつぶつ言いながらじっと待ち
やがて大腸に至り、やっと直腸に至り
フンまみれで
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